SYSTEMA by MITO YUKO

                    

 ANIME033.GIFANIME033.GIF お知らせコラム<2007->

      

             

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   < サイエンス・カフェ、仮面、茶席 > 

                                         (2007.9)

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    ◇ 『遺伝子・脳・言語』のタイトルに、〜サイエンス・カフェの愉しみ〜

     という副題がついた 中公新書、もうお読みになったでしょうか。

              

     「科学を文化に!」という呼びかけのもと、数人の科学者、数学者、それに

     どこからともなく集まった市民が、東京都内の小さなカフェで、ワイン片手に

          ざっくばらんな対話をした。

           

     飛び出す話題は、コンピュータやロボット、ウェブやゲーム、

     確率や素数、遺伝子や 脳 、はたまた 生命の起源や 宇宙の仕組み

          といったところまで、実に様々。

          

     参加者の意識のおもむくまま、時間が尽きるまで、

     つまり アドリブが基調のサイエンス・カフェなのですが、

     この集まり、 一つ 重要な約束事があって、

     「専門用語は 使わない」。「たとえ知っていても、使わない」。

                  

      科学者も含め、すべての参加者が、

     自然言語だけで何とか サイエンスに迫ろう としているのです。

             

    主催するのは武田計測先端知財団。

     その名を「カフェ・デ・サイエンス」といいまして、

     すでに10数回のカフェが2年ほど前から開かれています。

       

      冒頭に紹介した『遺伝子・脳・言語』は、

     その初期の頃のカフェ数回分を 再現し、加筆したもので、

      科学者サイドからは 遺伝子研究の堀田凱樹氏と

       脳研究の酒井邦嘉氏が対話の受け手として参加。財団プログラム

      オフィサーの 三井恵津子氏がモデレーターを務めています。 

                  

     読まれるとすぐにわかることですが、

      「市民といっても、この文化度の高さは何だ!?」

      と思われるような対話が毎回繰り広げられています。

           

      実は、何度かわたしも参加させていただいている

      のですが(本の中で発言は匿名です)、

      いま振り返ってみると、

       「市民」といわれている皆さんは、それぞれに

      何らかの 専門分野 を お持ちのだったように思います。

         

      バイオの専門家、電気の専門家、材料の専門家、化学の専門家、

      コンピュータの専門家、心理学の専門家、音楽の専門家・・などなど。

      誰かが頼んで呼んできたわけでもないのに、集まっているのです。

         

      つまり、こういうことだったのでは

      ないでしょうか。

           

     「専門家」の仮面をつけると、限られたことしか

       言えないし、考えられない。 けれど、

     「市民」の仮面をつけると、自由にものが言えるし、

      思考もおのずと柔軟になる。

        

   ◇   日本の伝統芸能であるや狂言、舞楽、 あるいは

      ヴェネツィアの仮面カーニバル といったところまで、

      世界には 仮面を使った祝祭や芸能が多数存在します。

               

      人は仮面をつけると、いつもならしない発想をするし、

      いつもとは違うコミュニケーションのルートを得て、

      全く新しい世界観に至ることもできる。

           

      社会の慣習化に伴う 閉塞感や緊張感を、

      仮面をかけるという 非日常の行為 によって

       打ち破ってきたわけです。

               

       と、このように考えると、

      サイエンス・カフェにも ゛現代版 仮面劇 ゛

      としての側面が見出せるわけです。

          

      それは平素ではありえないコミュニケーションの

      ルートであり、場 です。

                

      ただ、従来の 仮面劇と 大きく違うのは、

      現代の社会では、「一市民であることが

      すでに非日常の経験になっていることです。

           

      分業化が進んだ社会では、「ただの人」に戻るのにも

      ものすごく大きなエネルギーが要る。

         

      実際に仮面こそ 被らないものの、現代人は

      の顔に戻るための仕組みを いろいろと工夫し、

      それによって生活に張りを与えようと、日々 努力しているわけです。

            

  ◇    「きれいな水」や「きれいな空気」がすでに貴重な

      存在になってしまっているように、

      「ただの人」として「普通に」物事を見ることは

      現代の社会では、大変に希少性の高い経験になっている。

               

         腰からをはずし、あえて 狭い にじり口 を通って、

       茶室に入っていった戦国時代の武将たちのように、

       現代の専門家たちは、専門性のを脱いで、

       素の顔に戻るために、わざわざカフェに出掛けてゆく。

      

       「専門用語は たとえ知っていても 使わない」。

              

       制約の中に身を置いてこそ、

           脳の活動に「しばり」を加えてこそ、

           得られる思考飛躍があることに、

           人々はもう気づきはじめているのかもしれません。

       

      あり余るほどの知恵蓄積を前にしている

      いまだからこそ 現れたこのスタイル、

      21世紀型 の コミュニケーション と 思います。

            

            

       *武田計測先端知財団のサイエンス・カフェについては、

        同財団ホームページから。

          http://www.takeda-foundation.jp/index.html 

           

       *『遺伝子・脳・言語 〜サイエンス・カフェの愉しみ〜』

        堀田凱樹、酒井邦嘉 著 中公新書 2007年 は、こちら。

       http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4121018877/250-1673623-6374639?SubscriptionId=13YYE42STQ3840G75S82

                                              

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